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海外人気ゲーム会社との国境を越えた挑戦。成功の秘訣と、ファンコミュニティの力とは。

~マージマンション初のリアルコミュニティイベント~

今年9月、フィンランドに本社を置くMetacore Games Ltdのモバイル向け人気ゲーム『マージマンション』のリアルイベント「マージマンションカフェ in グラニースミス青山」が、開催された。(イベントの様子はこちら) イベントをプロデュースしたのは我々CARTA MARKETING FIRM。 Metacore Games Ltdで日本のマーケティングを担当する渡辺様にお越しいただき対談を実施。CARTA MARKETING FIRMの担当者とともに、国境を越えたやり取りの中で実現したコラボイベントの裏側や、成功への工夫、未来の展望まで語りました。 (聞き手 インターン 日向 葵)

サムネイル画像

自己紹介

Shuhei Watanabe
渡辺 修平 様
Metacore Games Ltd
プロダクトマーケティングマネージャー

世界5,500万DLを記録している大ヒットマージゲーム「マージマンション」の日本とアジア領域におけるマーケティングを担当。広告代理店、多国籍IT企業での勤務を経て、現職のためフィンランド・ヘルシンキに移住。好きなゲーム内アイテムは「モンキーレンチ」。

Ikumi Kochiwa
小知和 郁美
CARTA MARKETING FIRM
第3営業局所属。世界中のクライアント様(中国を除く)と直接やりとりを行い、弊社サービスやデジタル広告を中心とした代理店業務を提供する。第3営業局は外国籍のメンバーも多く在籍し、グローバルなチームとして活動している。国際的なビジネス環境での柔軟な対応力を強みとして、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案。

Haruki Yamashita
山下 遥貴
CARTA MARKETING FIRM
第3営業局・第2アカウント部所属。世界中のクライアント様(日本、中国、韓国を除く)に、アカウントコンサルタントとして広告を中心とした代理店業務を担当。ゲーム企業をはじめ、フードデリバリーやライブ配信、音楽系アプリなど、幅広いジャンルのクライアント様を担当。UAマーケティングからインフルエンサーマーケティング、オフラインイベントなどのブランディング支援を通して価値を提供している。

まず、今回のイベント「マージマンションカフェ in グラニースミス青山」について教えてください。

渡辺さん:このイベントは、マージマンションとして初のブランドコラボレーションおよびリアルコミュニティイベントでした。日本で有名なアップルパイ店「グラニースミス」とコラボレーションし、マージマンション4周年と敬老の日に合わせて特別なイベントを実施。特製のパイやドリンクを楽しみながら、既存プレイヤーはもちろん、通りすがりの方にもゲームをダウンロードしてもらうことで無料のパイを提供し、大盛況を収めました。

なぜイベントを実施しようと考えたのですか?

渡辺さん:日本において、マージゲームはモバイルゲーム市場全体の10%以下のニッチな市場ながら近年急成長を見せています。「マージマンション」は4年前のリリース以来、成長を牽引してきたと自負しています。CARTA MARKETING FIRM様のサポートを受け、マージマンションは過去2年間で急速に拡大し、その成長率はこの1年で新たな高みに達しました。この成功を受け、既存のファン層をさらにエンゲージし、楽しませることが重要だと考えました。新たに増えたユーザーと長く遊んでいるプレイヤーの双方に、どのように楽しさを提供し続けるかを模索した結果、コミュニティ施策を進めることにしました。

なぜ「グラニースミス」様とのコラボカフェを実施することにしたのですか?

渡辺さん:マージマンションには、「ウルスラおばあちゃん」というユニークで魅力的なキャラクターが登場します。彼女は「パイ作りが得意」という設定です。このキャラクターに合うブランドを探していたところ、日本で有名なアップルパイ店「グラニースミス」が思い浮かびました。グラニースミスは、ただおいしいパイを提供するだけでなく、アメリカの家庭でおばあちゃんが手作りするようなパイをコンセプトとしており、ウルスラおばあちゃんのイメージにぴったりでした。店内の雰囲気もゲームの世界観にマッチしていると感じました。ゲームはエンターテイメントであり、非日常を楽しむもの。イベント開催にあたり、世界観を大切にし、ユーザーに最高の体験を提供できる場所を選ぶことが重要でした。

企画や準備段階で工夫したことを教えてください。

小知和さん:今回のイベントは、既存ユーザーの皆様へ感謝を表すことも目的の一つでしたので、どうすれば皆さんに楽しんでいただけるかを常に念頭に置いていました。

山下さん:今回のプロジェクトメンバーは、もともとマージマンションの熱心なファンが多く、この「世界観」を忠実に再現することにも力を入れました。例えば、コラボドリンクの中の1つにはゲーム内に登場するダイヤを模したゼリーを使ったり、パッケージのロゴでは「×」の部分に、ゲーム内アイテムのナイフのデザインを取り入れたりするなど、「知っている人には分かる」工夫を盛り込みました。
社内外ともにチームで話し合いを重ね、より工夫を凝らすため、週1回のミーティングを4か月に渡って行い、密にコミュニケーションを取りながら進めました。

どのようなプロセスで準備を進めたのですか?

渡辺さん:構想は年始から始まりました。マーケターとして様々なデータを分析し、今年、日本におけるマージマンションの成長のために何をすべきかを考えた時に、ファンベースをさらに増やし、ファンの方たちに楽しみ続けてもらうことが重要だと認識しました。ゲーム業界では、コミュニティへのエンゲージメントが重要です。マージマンションはソーシャルゲームではないため、一人で静かに楽しむユーザーが多いのです。だからこそ、彼らが集まって一緒に体験を共有できる場を提供することは価値があると考えました。

企画にあたっては、フィンランドと東京の距離があるため、リモートで進める必要があり、ロケーションの下見なども難しい状況でした。また、限られた予算の中でどのようにコミュニティに焦点を当てた企画にするかを考えました。単なる賑やかしで終わるのではなく、確実にプレイヤー獲得にもつながるイベントにしたいという目標を掲げ、着手しました。

小知和さん:Metacore様とは2022年10月からお取引を開始し、すでに2年間の協力関係を築かせていただいております。特に、CARTAの強みであるデジタル広告を中心に、多くの広告やクリエイティブを展開してきました。もともとマージマンションのファンであるメンバーが多かったので、ファンの視点からも「これを試したい」などの提案を積極的に行ってきました。

今年の初めからは、デジタル領域を超えた提案を行い、OOH(屋外広告)やコラボ商品の開発なども視野に入れました。そのような提案を重ねる中で、Metacore様からオフラインイベント実施のリクエストをいただき、プロジェクトがスタートしました。そして、開催の半年前に、グラニースミス様とのコラボイベントを実施することが決定し、そこからは、良い意味で忙しい日々が始まりました。

準備段階で特に大変だったことは何ですか?

渡辺さん:最初の大きな課題は、グラニースミス様との交渉でした。ゲーム関連のコラボでは、他のゲームやアニメとのパートナーシップはよくありますが、異業種とのコラボはあまり事例がありません。いきなりグラニースミス様にコンタクトしても理解を得るのは難しかったため、いかに相互にメリットがある企画なのか納得していただけるようお伝えすることが最初のハードルでした。CARTA MARKETING FIRM様にも交渉に加わっていただき、実務面で彼らがサポートしてくれることを強調しました。

キックオフでは、イベント会社も含めた4社で集まり、実行プロセスを合意しましたが、弊社はフィンランドがベースとなるため、それ以降は一堂に会することが難しくなりました。リアルイベントは決めることが多く、オンラインでのコミュニケーションを通じてそれを段階的に解決していく必要がありました。

オンラインでのコミュニケーションの難しさはどこにありますか?

渡辺さん:英語でのやり取りが求められる点で、言語的に難しい部分もありますが、それよりも非言語的な部分でのコミュニケーションの難しさを感じることが多かったです。

例えば、店内装飾で最初にご提案いただいたのは旗がたくさんある賑やかなフェスティバル風の雰囲気でしたが、マージマンションは一人で静かにリラックスして楽しめるゲームですので、方向性が少し異なります。英語で言う「cozy(心地よい)」な雰囲気を重視し、装飾を減らすなどしていただき調整しました。こうした非言語的な感覚を共有し合うことが難しいところでしたね。

小知和さん:そうですね。一方で言語面でも、このような難易度の高いやりとりの中では、日本語でやり取りしていても認識がずれてしまうことがありますが、言語が異なるとその難しさはさらに増します。たとえばMetacore様が「イエス」と言っても、そのイエスが本当に100%の承認なのか、裏に隠れた「ノー」があるのか考える必要がありました。オンラインできちんと表情が見えない中、ネイティブでない言語でのコミュニケーションには独自の難しさがありました。ただ、その難しさが、振り返ると面白い体験でもありました。

CARTA MARKETING FIRMとしてはどのような難しさを感じていましたか?

小知和さん:最初の大きな壁は、制作物が実際に動き出した際に、その量と質をどのように担保するかという点でした。プロジェクト開始時に全ての制作物を可視化するためのプロジェクトシートを立ち上げましたが、作業が進むにつれて当初の想定よりもどんどん増えていき、「これも必要だよね」という項目が次々と追加されました。弊社としては「やるからには中途半端にはしたくない」というプライドがあるため、量と質にこだわるうちに、納期に間に合わせることが難しくなってきました。

限られた時間の中でどのように対応したのですか?

毎週ミーティングを行っていましたが、週1回のミーティングでは十分に対応できないことに気付き、開催直前の3ヶ月は可能な限りの情報をSlackで共有し、口頭でないと伝わらないニュアンスのみミーティングで伝えるなど、日々コミュニケーションを取るようにしました。テキストと対面(オンライン)のコミュニケーションを組み合わせることで、情報量を増やし、スケジュールに間に合わせることができました。

山下さん:私は、日本の文化やニュアンスを海外のお客様にどう伝えるかが難しかったです。例えば、「おもてなし」という言葉をどのように説明すれば伝わるのかなど、英語での表現方法にこだわりました。Metacore様のプロジェクトマネージャーはフィンランドの方だったため、こうした日本の文化を包括的に伝える難しさがありました。

プロジェクトの初めには、時差がある中で、制作物や決断の締め切りが迫ることも多く、どのように伝えれば判断がしやすくなるか、どんな提出方法がスムーズに受け取っていただけるかを考慮しました。相手の立場に立って工夫することを心掛けました。

イベントを通してどのような成果がありましたか?

渡辺さん:会場となったグラニースミス青山店は、こじんまりとしたお店でイベント4日間での累計収容人数も最大400人ほどですが、予約告知後30分で満席になり、その殺到ぶりが印象的でした。イベント中のキャンセル率もほとんどなく、キャンセルがあったとしても短時間で再び埋まるほどの熱狂的な反響がありました。

また、一般のお客様、特に予約なしで来店された方やテイクアウトのお客様も多く、常に行列ができ、整理券を配るほどの盛況ぶりでした。パイはほとんど完売し、予定時間より早く配布が終了しました。多くのお客様にマージマンションのパイを楽しんでいただけたと感じています。

SNSでの口コミも非常に好評で、「想像を超えるカフェだった」、「他のコラボカフェとは一線を画している」「本当に無料でいいのか」「毎月開催してほしい」といった予想を超える反響がありました。SNSには細かくレポートしてくれるプレイヤーの投稿や、たまたま近くを通りかかったYouTuberによる即時のレビュー動画もありました。特に反響があったのは、私たちが力を入れてきたゲームの世界観の再現です。細部にまで注意を払った点について多くの参加者に気づいていただきました。店内でパイを食べながら、黙々とゲームイベントに没頭しているファンの方も多くいらっしゃいました。

本イベント以外でMetacore Games様とCARTA MARKETING FIRMはどのような取り組みをされているのですか?

山下さん:2022年より、Metacore様のマージマンションにおける日本でのユーザー獲得全般を担当させていただいております。弊社のプラットフォームであるZucksに加え、様々なプラットフォームを活用して広告を配信してきました。広告では多くのことを試みており、Xでは漫画風広告「おばあちゃんあるある」を作ったり、TikTokではUGC(User Generated Content)を試したりしました。マージマンションの世界観を崩さず、しかし挑戦的な姿勢でクリエイティブを作成してきました。

今回のプロジェクトは、新規ユーザー獲得施策以外では初めての取り組みとなりましたが、ユーザー獲得からその後の継続まで一貫して担当しています。

また、対面でのコミュニケーションも大切にしています。フィンランドから日本へ来ていただいたり、私達もフィンランドの本社を訪問して提案の機会をいただいたりしています。来年もフィンランドを訪れる予定です。

最後に今後の展望を教えてください。

渡辺さん:私たちの野望は、マージマンションが世界中に生涯のファンを持つ有名なエンターテインメントブランドとなることです。それに繋がることであれば、今後も様々な挑戦を続けていきたいです。
主人公の「ウルスラおばあちゃん」の設定の一つに「Grandma is always one step ahead(ウルスラおばあちゃんはいつも一歩先を行く)」というものがあります。これにならい、マージマンションは通常のゲーム業界や広告ではやらないような独自の戦略や、クリエイティブ含めた戦術をどんどん試していきたいです。今回、マージマンションとして世界で初めてブランドコラボレーションとリアルコミュニティイベントを実現しましたが、それに続く新しいことを考えています。
今はまだ、具体的な答えは出さないようにしています。過去に誰かがやったことの焼き直しになってしまう可能性があるからです。CARTA MARKETING FIRMの皆さんやプレイヤーからもアイデアを取り入れ、クリエイティブな刺激を受けながら次の企画をしていきたいです。

山下さん:来年、マージマンションは5周年を迎えますので、弊社としても再びMetacore様の大きな野望をサポートしていきたいです。Metacore様の細部までこだわられたプロダクトによって、プレイヤーの皆様はマージマンションに強い愛着を持ってくださっています。今回のイベントでも、ファン同士が交流できる機会を求める声がありました。5周年の際にはこうした要素を含めたイベントを共に企画していきたいです。

小知和さん:振り返ってみると、まだまだ多くのことができる可能性があったと感じています。例えば、リアルイベントとデジタルコンテンツの融合を図ることで、表参道のお店に向かう途中のルートでOOH広告を活用し、表参道駅に到着した瞬間からプレイヤーのモチベーションを上げる施策を考えたり、スマホのカメラ機能を使ってバーチャルなウルスラおばあちゃんを登場させたりするなど、新しいアイデアが次々と浮かびます。一緒にやりたいことは、どんどん増えていきますね。マージマンションが次に見せてくれる世界がとても楽しみです。

【本件に関するお問合せ先】
株式会社CARTA ZERO 広報室
cartazero_info@cartahd.com


【報道関係者お問合せ先】
株式会社CARTA HOLDINGS 広報担当
https://cartaholdings.co.jp/contact/

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